日々家 HIBIYA

数種類の定食と、季節のおいしいものを少しずつつめこんだ豆皿がならぶ「日々家御膳」のお店です。

いらっしゃいませ

いらっしゃいませ

先日、某飲食店でランチをいただいたときの話なんですが、

お初のお店で、店内が見えない作りで、
開くのに勇気がいるドアをなんとか開けて、
お店の方に精一杯の「怪しい者ではないですよ」とアピールしたく
笑顔で入店してみたものの…

「いらっしゃいませ」なし。

「こちらへどうぞ」
「お好きなところへどうぞ」
のお声がけ、いずれも、なし。

狭めの、端っこのテーブルに座って、
メニューを見ていたのですが、
お茶も来ない。

我々の後に入店した常連風のお客様へは、さっそくお茶出し。

いやもう、
私ら死んでるんかな。
霊なのかな。
誰にも見えてないのかな。
と、ちょっと不安になるぐらい。

それぐらいの、まったくの迎えてくれなさ。

もう出ていこうか…
と席を立ちかけたところに、やっとこさ、お茶をいただけました。
オーダーもとっていただけました。

分かったことは、
ホールの女性の方、悪気はいっさいない。
ただただ…めちゃくちゃ暗くて、
激しく気が利かないだけなんだ、ということでした。

なんやワラワラ言ってた言葉は
声がちいさすぎて、ひとことも聞き取れなかったし、
なかなか料理が出て来ず、チラチラとキッチンの方を見ていた、
となりのテーブルの方も不安そうでした。

このホールの女性の暗さに負けないぐらい、
後ろ向きに、下向いて歩いているようなわたしですが、
店に立つときはもっと元気よく、声出していこう。
忘れかけてた「明るさ」ってものを絞り出してゆこう。
そう思いました。

でも、あのホールの女性が
どのお客さまにも言ってなかった、一度も聞かなかった「いらっしゃいませ」。

なぜ言わないのか、ずっと考えていたのですが
「いらっしゃいませ」とは決して言うべからず。と先祖代々の決まりごとか何かがあったのか、
誰のことをも歓迎したくないのか、
「いらっしゃいませ」っていうのが恥ずかしいのか、
「いらっしゃいませ」って言ったら息子の命はない、って言われたのか
知らんけども、

…そんなら、絶対に「いらっしゃいませ」って言わなくていい仕事しようや。
病院とか、工場とか、きっとあるはずなんで。

でもこのお店、お料理はおいしかったので、
懲りずに、また行ってしまうかも知れません。
できれば、あのホールの女性がいない日に行きたいな。

…そうお客さまに思わせてしまうことのないよう、
日々家も日々、精進しますね。
がんばりますね。

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